新着情報: 日常的な水流がイワナの稚魚を選別する~新たな進化機構「空間的選別」の概念を拡張~(水産科学研究院 教授 和田 哲) (hokudai.ac.jp)
●イワナの稚魚で、着底行動を示す個体が流下しにくいことを水路実験で実証。
●高い堰堤や滝の上流で、着底傾向の強い稚魚が空間的選別によって進化することを示唆。
私だけでなく、山奥の源流で渓魚を釣る人は、似たようなことは感じてるのではないでしょうか。
私が普段釣りに行く渓流の多くは、漁協による放流等の管理がなされ、自然繁殖の渓魚と言えど、その遺伝的系譜は人の手が加わったものが殆どです。
しかし現在も、源流部には完全に天然の魚は息衝いており、非常に貴重な存在と言えると思います。上流から魚が流されてくることはあっても、下流から遡ることの出来ない閉鎖的場所、記事中で言われる堰堤や滝上がそれですね。そうした河川にも人が放流した魚が生息してる場合が殆どですけども。
一般河川には定着性の高い「居着き型」と、下降・遡上する「移動型」の渓魚が居て、この両者には完全な線引きは難しい。居着いた場所から殆ど動かない個体、水の増減や季節進行で幾らか動く個体、大きく上下流を泳ぐ個体、個性様々なようです。
下流から遡上が出来ない河川では、移動性の高い個性の遺伝子が供給されませんから、棲息する個体の多くが居着き型になるのは、そうだろうと。
しかしやはり源流の隔絶区から降りてくる個体は居るようで、最上流部に居る個体に似た形質の魚は滝や堰堤の下流で出会えることもあります。
そうした個体の多くはおそらく、幼魚・稚魚のうちに下流に降りていて、余程の水害級の大水でもない限り、成魚が押し流されることは少ないのではないか、と私は見ています。簡単に大きな魚が流れ下るようなら、源流部の魚は絶えてしまいそうですが、現実はシッカリ棲息してますのでね。
私の住む中部地方の太平洋側の河川では、源流の天然種はヤマトイワナです。
場所によりますが、ヤマトイワナは本当に希少で、ごく限られた水域でしかその姿が見られません。
その美しさ、野生の迫力は、画像・映像では分かり難い、まさに「宝石」。
長い年月を経て、その地に居着く姿が形成されたのだなと、あらためて今記事で思った次第です。