過去一番、釣り上げて「吠えた」魚
9月の渓流最終釣行。
一泊二日で臨むも、初日はダメ。
2日目もこれと言った魚には出会えず、時間が過ぎ。「ダメだ、無理かも」と諦めが入りかけていた。
夕方近くなり、最後と決めたポイントに腰を据え、粘る。
間近の足跡は2~3人分だろうか。人の釣り後なのは承知だが、時間的にも移動の選択はない。
釣れても釣れなくても、日没まではやろう。ここまで来て、やや吹っ切れた感。
竿を振り始めてちょうど45分が経過したところで、無音だったポイントから明確な魚の反応が出た。
アワセを入れた瞬間伝わる、「硬さ」と「重さ」!
「来た!!」
強い流れが中央を通っており、そこに魚が乗ったら、下流は荒瀬。
ここで竿を絞り、耐える・・
が、やはり止まらない。流れに乗って下る魚を、走って追い掛ける。
竿が伸されたら終わる。
白波立つ瀬を走り切り、魚の下流側にポジションを取った。これでこちらが有利。
ここで魚の全身がようやく見えた。
やはりアマゴだ。凄い顔付き。ヤバイ、震え出しそうだ・・。
この時の私は、魚を引き寄せるのが怖いと思った。
取り込む寸前でハリが外れる等の、トラブルが頭をよぎる。
慎重に自分から流れに入り、距離を詰め。一気に掬う!
「捕った~!!!」
その後、何を言ったのか、よく覚えていない。
何か必死で叫んでいたのだけど、股下くらいの水深に立ったまま、大声を出していた。
強度の緊張と興奮、無事に捕れた安堵感。
この魚に出会いたくて、寒くも暑くも、雨でも何でも、通えるだけ渓に通った。
時刻は夕の6時少し前。
周囲が暗くなってきていて、渓流シーズンが閉じる、その寸前の出来事。
一発逆転とも言えそうで、しかしそれでは言葉が軽い気もする。
運が味方した? 何でもいい。
目の前に、自身で釣り上げた魚が居る、この事実。そこに震えそうになってる自分が居た。
・・・・・・・
これほど興奮した釣行は無いし、今後もそうそうないのではないか、と思います。
この時撮影した写真は、今も額に入れて飾ってあり、何度見返しても、気持ちが暖かくなります。釣果の記録の部分でなら、その後も釣りを続ける中で、思い出に残る出会いは沢山ありました。それでもあの時の興奮は忘れない。
その時までの経過から、結果までのドラマ?に、自身で「伝説的釣行」と名付けています。
魚の姿や、出会いの過程など、何を目指し、どう取り組むかは人それぞれ。
一所懸命に釣りをすることでしか感じられない、魚との出会いの感動がある。
自分で書くのもですが、人は純粋な想いゆえに真剣になれるのですし、そこには変な格好付けや小理屈の出番は無い。
釣れなくて悔しい日を数え、偶に出る良い釣果に、目指す魚との出会いの距離が縮むのを期待し、考え動き、結果に届くまで釣りを続ける。
感動を得られるたびに、その日までを振り返り、出来事に感謝をします。
私は渓流釣りが趣味で良かったです。