大岩の脇に流れが通り、深く掘れている。
「いかにも」な雰囲気だが、魚の反応は無い。
立ち位置を変えて、再度狙うも、やはり無反応。良い流れに見えるが?
更に立ち位置を変え、通すこと数回。小さな反応が出た。
アワセを入れると、激しい抵抗が始まった。
想定よりデカい!
手前側に流芯が通っていて、寄せられない。
徐々に下られ、付いて下がるうち、急瀬の肩が迫ってきた。
マズい、まだ寄らない。このままでは、瀬に落ちる。
ゆっくり考えてる暇はない。
瀬の長さは20〜30mほどか。
この瀬に落として、走って追い掛ける!
もう竿の角度が、弾力がとか、無視。
とにかく走る。瀬落ちまで伸されずに走り切る!!
深みまで辿り着き、飛び込んだ。水深は何とか足が着く程度。思ったより深かった。
この時、大分下流側に魚は居た。よし、ハリは外れてない。
竿を絞ると、魚が水面から頭を出した。良い顔付きだ。
魚の体力が尽きてきたようで、こちらの竿操作に着いてくる。
浅場に寄せ、捕った。
肩で息をする、とはこの事。
良かった、無事に捕れた。
良い体躯のオス。ありがとう、良い出会いだった。
・・・・・
ヤリトリの無茶さ加減が、非常に良い思い出になった一尾。
真夏だったので水浴びが出来ました。
魚を取り込んでから、浅瀬に腰を下ろし、息を整え。無事に捕れた安堵感から、魚を眺めつつ、しばしの休憩。そして画像に何点か納めてさせて貰いました。
写真を見返すたび、魚が瀬を落ちる瞬間や、川に飛び込んだ際のこと、そこで見えた魚体のこと、瞬間瞬間をクリアに思い出します。
トラブルめいた苦労が多いほどに、一尾との出会いの印象が強まる。そして記憶に深く残り続け、無事に捕れた喜びが、心を豊かにしてくれます。