山渓遊びブログ 渓流釣りと採集

岐阜県から 山渓アウトドアライフ

鱗の反射のないアマゴ

渓流魚を追い掛けていると、本当に個性豊かだと感じます。

通常、山奥の渓のアマゴは鱗の反射が薄いものが多く(居着き型)、大きな本流やダム等が絡んだ場所のアマゴは銀毛掛かった鱗を持ったものが多いです(遡上型)。

それらの中に、鱗の反射が消えたアマゴが居ます。「鱗が薄い」じゃないですよ。

 

これは写真の撮り方でそう見える、のではなくて、実物はどの角度から見ても鱗の反射がありません。

 

これは鱗の皮下埋没という現象なんだそう。繁殖期が近付くと、一部の個体に起こるようです。

ヌメリ肌で、まるでイワナの体表のようですが、鱗が無くなってるのではなく、よく見ると鱗は見えるもの、本当に見えないものと、様々です。

 

サツキマスや本流アマゴのように、普段の鱗はギンギンでも、婚姻色を纏う時期になると、一部個体からそれが消える。

魚の視覚的に成熟を色別しやすくしてるのかも。実際に、私が出会ったこのタイプは殆どがオス♂です。

しかし何故に一部個体にのみ起こるのか、それが不思議。

 

私は釣り人なので、同じ釣るなら、好みのタイプを釣りたいと考えています。

鱗の反射のないアマゴは、何処でどうしたら出会えるのだろうか。これは今までに、随分考えてきました。

 

一つは繁殖期の変化なので、秋になる頃に探す。これが一番高確率なわけですが、実はチャンスは一年中のようです。

アマゴの中には繁殖行動を2回行うものたちが居ます。(大型に育ったアマゴの殆どは繁殖行動は一回です。)

その個体群は秋に成熟しても斃死せず、翌年も生きています。つまり成熟した証を残したまま、翌年春に渓に泳いでいる。

となると、繁殖行動2回の個体が多い場所では、早春の解禁早々から、この個体群に出会える。どうしても春のそれは小〜中型が多いですが、大型の多くが居なくなっていますのでね。

 

出会えるのは何処か? これが探すテーマの一つ。

このテーマを深堀りすると、どんな渓流の、どんなアマゴが2回繁殖なのか、そこに興味が沸きます。

経験から、この群の出現率の高低が、場所によりあることは分かってきました。まだその考察は確信が持てていないのですけどね。

初めて鱗の反射のないアマゴを見た時は、素晴らしく綺麗な、野生のアマゴと感じました。

それもそのはず、アマゴだけでなく鮭科の魚の生命力が最も増して見えるのは、成熟体だからです。(私の感覚では)

産卵行動に臨む魚の迫力は、文字通りに命懸けの行動ゆえかも知れません。

 

私は春先には年越し・年無しと呼ばれる、前年に成熟した個体を探すことをよくやります。

一度成熟したら、多くが斃死する鮭科鮭属の魚において、成熟体のままで冬を越す魚の逞しさ、その姿に感動を覚えるのですね。

秋に婚姻色を纏った魚から、繁殖行動後にその色が失せ。しかし骨格や体表などの特徴は翌年に持ち越されます。

 

野性味が強くて格好良い魚には、サイズで言えない価値を私は感じています。

それで関心が強くなり、釣り人ゆえに釣り方はどうするとか、考えることがとても楽しい。

鱗の反射を残して成熟するアマゴも居ますが、どちらにせよ嬉しいです。ではその個体の違いは何だろうか。

幾重にも不思議が多く、そして釣りのターゲットとして手強い魚、これを追い掛けて止みません。