山渓遊びブログ 渓流釣りと採集

岐阜県から 山渓アウトドアライフ

年越しアマゴを探す

3月に広域で渓流解禁になり、この時期の私の狙いを探りに行きました。

 

前年の秋に繁殖行動をしたアマゴ。そこで生き残る個体を、越年、年無し、等と呼んでいます。

春先は特にメス♀はまだ回復し切っていなくて、痩せた体に、くすんだ体色。ただ回復には個体差があります。

 

 

越年メス♀アマゴを早春に釣ると、尾鰭に傷痕が残ってます。これは産卵床を造る際に、川底を尾鰭で掘るので、小石や砂で削れてしまうのですね。

 

欠けた尾鰭は、体力が回復するとともに再生します。

この再生痕の程度で傷の大きさが分かり、体が大きいほど沢山の卵を生むためか、尾鰭の欠けた傷も大きいようです。

 

傷の治りが早い個体は、その場所もしくはその個体は産卵時期が早かったか、冬でも採餌して回復出来たのかも。

こうした想像から、棲息環境のことを考察するのは、とても面白い。

川虫類、河畔林の植生、地形、渓相等々、魚の動きと居場所に関わる事柄と、実際に釣れたアマゴの姿型から、想像と実像を合わせていくのですね。

 

成熟したメス♀の特徴は、尻鰭が長く伸びていること。早春は痩せているので、鰭の大きいのが目立って見えます。

これは繁殖行動の必要性からの変化で、産卵床を掘る際に、自分の産む卵を着床させる深さを測っています。

 

 

オス♂は鰭の欠損はなく、繁殖行動後も泳いで捕食できるからか、メス♀に比べて、極端に痩せた個体は少ないようです。

口先が尖り、大型は鼻曲がりになりますが、中小型ではそこまで顕著ではないですね。

秋の成熟魚の中に、鱗の反射が消えるものが居て、その特徴は翌年も残っています。

 

雌雄ともに野性味を強く纏う魚、それが成熟個体。

多くの成魚が繁殖行動後に斃死し、中小型で成熟した魚が翌年に生き残ります。

春先には昨秋には未成熟だった小型魚が多く、こちらは繁殖行動に参加していなくて、動き出しが早いです。

 

 

全体数として割合は正確には分かりませんが、越年魚に出逢い易い渓、あるいは場所はあるようです。

 

早春、小型で元気な魚とは、成熟体は居場所の傾向が違います。

完全に釣り分けることは私では無理ですが、ある程度は狙えるものだとは分かってきました。

痩せた魚体をそっとしておくなら、居場所を避ければ良いし。幾らかでも良型を求めるなら、そうした場所を狙うのも一手。

居場所を言葉で解説するのは難しく、その場の雰囲気と言うか。もっと沢山の魚を釣れば、より分かってくるのかもしれませんが。

 

釣りは対象魚を釣り、一尾一尾の出会いを検証し、仮説を立て、結果を確認する、この繰り返しで、狙いの次の魚にアプローチします。

私は季節ごとに移ろう渓魚を、釣りを通して知ることに楽しさを感じています。数狙い、型狙いとは、また違った方向性ですが、数型釣らないと触れられません。

 

 

季節の変化は自然の様々な場所に現れ、それが渓魚たちとも連動している。

川と魚をよく見て、それと同じくらい周囲もよく見ると、様々な情報があります。どうしても釣りの最中は視線が偏りがちですが、結局どの方向も楽しいのですよね。

 

今回行った場所は、春と言うよりはまだ冬でした。

それでも暖かくなって、魚たちが完全に回復する時期は近い。

季節の進行とともに、色々なテーマを追い掛けようと想っています。