山渓遊びブログ 渓流釣りと採集

岐阜県から 山渓アウトドアライフ

夏〜秋口のキノコと渓流釣りの関係

9月の初旬。

季節の巡りには年ごとに差異があり、早くから冷えてきたり、残暑がいつまでも残ったりと様々。近年は後者の傾向が多めかと感じます。

 

ハナイグチ

 

キノボリイグチ

 

シロヌメリイグチ

 

渓流近くに秋口から発生する、イグチ類が活発になってくる時。

これらは地熱が低下することを示すサインで、気温が高めで土が温いうちはあまり出てきません。

 

地熱が下がる→水温が下がる

そうなると渓魚たちは食性、習性が夏から秋に切り替わる。産卵準備に入り、魚体にも、行動にも変化が見られます。ですがこれらのキノコが出始めの初期は、まだ気温水温が高めで、完全な秋には少し早い。

 

チチタケ

 

夏のキノコで、土が暖かい時に発生します。

これが沢山出ている頃の釣りでは、早瀬の流芯や、淵の深みなどが魚の着き場になることが多いです。意外な浅場に良型が入ることがありますし、その時々で変わりますけどね。

これが徐々に秋に切り替わり、夏までと同じようには釣りが成立し難くなる。

 

私が季節の巡りを知る目安として、夏キノコの発生がいつまで続くか、秋口のキノコの、何が・どれだけ・何処に・いつ出るか、ここは注視してます。秋口のキノコと夏のキノコが混在してる状況は、魚の動きもまた、個体差により、両方が混ざった感じであろうと。

 

夏キノコが早く姿を消す年は、魚の秋入りもまた早い。私はここはかなり確信を持っていますが、そう単純でないのが自然。100%はおそらく無く、あくまで傾向です。

東西南北、どちら向きの山の斜面なのかで発生状況が違う事が珍しくなくて、それが標高差(地域差)でも変わってくる。どこかで何かが発生した・消えただけでは、季節の状況がどうであるとは言い切れないのですよね。

 

ドクツルタケ

 

猛毒菌。一本食べると、人が三途の川を渡ると言われます。

シロマツタケモドキとの誤食でお亡くなりになった方が過去居られたようで、この手の白いキノコは私は基本、全てパス。見るだけ、撮るだけです。

 

ヒイロガサ(←多分

 

これも夏の終わりに発生します。チチタケのちょっと後、ですね。

 

キノコは発生時期とその期間が種により違います。時期を被せつつ、様々な種が次々に出てくる。

また年により、種ごとに発生時期や量が変化します。原因としては8〜9月の降水量と気温などでしょう。雨が降っても、その一日で爆発的に出るわけではない。

しかしこの時期の降雨は地熱を下げ、水量が増せば、渓魚遡上の呼び水になります。秋の渓魚の移動は、増水よりも、水温低下の方がスイッチが入るように見えます。

 

経験から、秋口のイグチ類が現れる頃、渓流魚の中では成熟の早い個体がペアリングをし始めます。ペアを探す個体、すでにペアが見付かった個体、これらは夏までの捕食し易い場所が着き場ではなくなる。

こうなると、釣りの予想が難しい。積極的に採餌しない個体が多くなるのは、捕食よりも繁殖行動が優先されるからだろうと。

 

秋のキノコ類の状況は、気温水温で見えない季節進行を知らせてくれます。

発生に完全なパターンは無いことから、観察対象を広げても絞っても、明解な答えは出ないかも知れません。それでも、渓流釣りと周囲の自然を釣りを通して知ることは、とても楽しく面白いです。

「答えが見えた」と感じられるのは、周囲の自然から得たヒントから、狙いの魚に行き着けた時、だと思っています。