山渓遊びブログ 渓流釣りと採集

岐阜県から 山渓アウトドアライフ

渓流の成魚放流について考える

渓流釣り解禁の頃に、養殖の成魚を放流する漁協があります(ところにより周年、もしくは年に何回か)。

放流魚種がアマゴやイワナとは限らず、ニジマスだったり。これらの放流魚と河川の天然魚と合わせ、キャッチ&リリース区間が設定されたりなども。

釣り人が何を目的に渓流に行くのか、そのニーズの部分に広く対応する、漁協の河川管理の形態ですね。

 

私の住む地域周辺ですと、2月から一部河川で渓流釣りが開幕し、3月には多くの河川で始まります。

この時期はまだ水温気温が低く、河川の魚達は目覚め切っておらず、コンディションもイマイチな個体が多い。

ここに養殖場で育った魚を放流することで、釣り客へのサービス?を漁協がしている、そんな感じですかね。魚は養殖ものですが釣り場は自然河川ですから、まずは成魚で肩慣らし、そんな釣り人も沢山居られます。

 

個人的意見で、場所設定次第でこれは「アリ」と思っています。

天然魚のみを対象にしていると、釣り人の数に対して、フィールドによっては無理があるかもしれません。

工事などで渓魚の再生産が少なくなっている河川もありますし。

 

近年、成魚の放流事業に力を入れる漁協と、止めて行く漁協があるようです。

釣り人側は自分の好みに合う河川を選びますので、河川ごとでなく、渓流釣り界全体での需要と供給のバランスになると思います。

 

私自身は放流成魚は狙って釣りませんし、自然河川の釣り堀化には正直、あまり良い印象はないです。

しかし上述したように、ニーズの多様化と環境の変化への対応、今後に繋がる釣り人の育成と言うと大袈裟ですが、河川に親しむ人を増やし絶やさない取り組みとしての必要性はあるのかなと。

私は釣り人ですから、釣りを通して自然を学び、その大切さを想います。河川とその周辺の自然を知る人が多くなれば、環境面を大事に考える人もまた増えると思う次第。

 

渓流釣りの初心の頃には、私も放流魚を釣りに行ったこともありました。釣り堀行けば良い、との意見はあるかもですが、自然河川で、と言うところがミソで。

放流魚と言えど、河川に放されれば自然の餌を摂りますし、その魚を狙って釣る中で、他魚種や天然魚が掛かることもあります。それに養殖魚と言えど、川に入って時間が経つほどに、やはり手強くなっていきます。

 

放流魚を狙うのが楽しい人は、続けて通われるでしょう。確実に魚が居るポイントであることは、間違いないですしね。

私も含めて天然魚狙いの人は、魚が居るかどうかさえ不確かなポイントへも足を向けます。

この不確実性をクリアするのが面白さの一面と考える人、行ったからには魚に触れられる確実性を取りたい人、皆それぞれ。

 

これらは以前書いた記事。

放流しても魚は増えない~放流は河川の魚類群集に長期的な悪影響をもたらすことを解明

こうした研究結果が出ていて、私が河川の釣り堀化に良い印象が無い理由でもあります。

放流したことで魚が減ってしまうのでは、釣りから始まって自然に親しむ人を増やす効果としてもマイナスになりそう。放流する場所や、その量、漁協は大変かと思います。

良い魚を育む環境が守られつつ、広く釣りを楽しめる、そんな漁場管理であって欲しいものです。