名人とは、本人にとって「普通」の成果が、他者より抜き出ている人。
そんな人は知識とか技量と言った数値化出来ない部分も長けていて、それゆえ圧倒的な成果を出せる。
私が以前聞いて、なるほど、と思った名人の言葉。
「自分の地元周辺の河川なら、何処でも知ってるし、良い時期に良い場所が分かる。知らない土地では同じような訳には行かない。その土地の人には適わないよ」と。
これは別所の名人も同じような事を言われてました。
釣り自体の注意点は何処の渓流でも似ていますが、土地ごとにクセみたいなものはありますね。それは渓相もですし、生息してる水棲陸棲生物類の違いとか、水温や地質等々から、魚の行動や生育もまた変わってくるものかと。
このあたりの土地と魚の特性を熟知してる人の方が優位であると、名人は仰ってるのだと思います。
もう一つ印象に残ってるのが。
「難しい釣り場、難しい魚は、誰がやっても難しい」
これもなるほどです。
名人と呼ばれる人になると、ある意味で挑戦を受けることもあるのだそう。
「○○川は凄く難しい。ぜひ行って、釣ってみて欲しい」等。
先の意言葉に乗せるなら「土地の人が難しいと感じるのなら、他所の自分では尚更難しい」となるのかも知れません。
さりとて、その地の名手はやはり物凄くて。私程度ではもう、コテンパンです。
幾つか忘れられないエピソードがありますが、その中から。
ある時、良型含みで私的に好釣に恵まれた日に、早朝から釣り場で粘っていました。
後で聞いたら、土地の名手がその上流側に午後から入ったのだそう。
釣果を尋ねると、私の二回り以上の魚をゾロゾロと仕留めており「今日はよく釣れたね!」ですと。
後日、私がまた朝から釣っていた時に、同じく午後の短い時間に釣りに入った同名手。
この日は数は良く釣れてましたが、いまいち型が上がらないでいたところ。
やはりと言うか、優に尺を超すアマゴを筆頭に、これまたゾロゾロと。
な~~~にが、そうも違うのかな??? と、こんな調子です。
一緒に並んで釣れば、ダブル、トリプルスコア以上で釣果を出されたりと、そりゃもう、勘弁してくれの世界。
負けん気発言をしておきますと、「今の私なら、あの時ほどの差にはならんと思うぞ」などと(笑)
私のように地元河川に渓流魚が棲息してない釣り人は、決めた河川に通い込んでも、所詮はアウェーになります。経験値が違いますから、地元名人にはとても適いません。
ある地域の名人は、他の土地では全然釣れない、なんて極端な意味では無いわけです。
熟練の釣り人は、どこの渓流に行っても、魚は釣れるでしょう。というか、釣れないはずがないです。
自分では釣れない魚を釣れる人が居る事実は、まだまだ追っていける釣りの深みを見せて貰えます。
直接知らなくとも、ネット等メディアでは、驚異的な釣果が見られることも少なくない。また、表に出ない名人も沢山居られます。
そんな情報に接するたびに、いつかは自分もと、胸の高鳴りを感じるのも良いものだと思っています。