「何かあったら、どうするのか」
私は単独で山入することが多々ありまして、こうした質問はこれまでに何度も受けました。それとこの台詞は結構どこでも、何か新しいことを始める時に、聞かれるのではないですかね。
多分ですが、野生動物とか、遭難とか、ヤバめなことを心配されるのだと思います。
「多分」と書いてるのは、それを本人に尋ねても大体、明確なイメージは無いから。文句言うのではありませんけどね。
人間は誰でも、「知らない(感知出来ない)ものが怖い」と言う、本能的不安を持っています。これはオバケや宇宙人とか、もっと身近では暗闇が怖いのと似ています。ハッキリ正体が分からない、未知、無知なものに抱く感情。
何かあったら→「何が起きるか分からない」ですね。
可能性を言い出せばキリがないですが、これを少なくするには、起きるであろう事柄を、想像だけでなく現実的に知ることと、対処法を学ぶことが善しでしょう。
知識と対応力が持てれば、不安は小さくなるものです。このことはアウトドアだけでなく、仕事でも趣味でも、物事への対応の考え方は、対象が違っても殆ど同じ。
不安を減らすことは、日常のストレスを減らし、心身共に健康への好影響としても大事です。
年間の国内の死亡数を一部紹介します。(事故数でなく、死亡数)
水難事故・600~700人
山の遭難・300~400人
水と山関係で、毎年1000人ほどが亡くなります。これはレジャーだけでなく、仕事中の人や、自然災害が絡むものも。
ちなみに、熊に襲われた事故では、1~2人 です。
日本では一年間に140万人が亡くなっており、一日にすると3000~4000人。
山川絡みで亡くなる人は、確率で言えば0.0007%。交通事故で約3000人が亡くなり、内訳で歩行者が1000人ほど亡くなっています。
データ上、山水絡みと歩行者事故の死亡数は、同じくらいですね。
数字の大小は危険を知る指標で、どこで何の事故が起きるか、私は知っていた方が良いと考えています。
私は趣味で遊びに行くので、山渓で起こるであろう、危険事象への対処法を覚えたい。知識、技術、体力の次第で、危険度は変化します。誰もが事故に遭うほど危険であれば、そもそも山間の生活は成立せず、まして趣味では立ち入れないでしょう。
無闇に不安視するのも、あまりに楽観視するのもよろしくない。
「不安だから止める」は一つの正解ですが、リスクを避けると楽しみが減ります。そうでなく、不安要素への対応力を鍛えれば、むしろ楽しみは能力に応じて増やすことも可能。
自分の好きなことを作るのは、良い方を拡大し、不安な方は縮小する、自身の取り組み如何だと想います。