淵尻に良型のアマゴが見え、しばし観察。
ウロウロしているが、時折定位するような仕草。あれは狙えそうだ。
姿勢を低くして、魚に気取られないよう、慎重に。
数回通すが、反応しない。
更に数回、打ち直したところで。
見えている良型ではない、別の魚が深みでガン!とアタってきた!!
予想外だ。
しかも物凄い重量感。何だこれ、何が掛かった?
コントロールが効かない。
パニクると負ける。落ち着け、落ち着けと小声で唱える。
最初の走りは何とか抑えた。しかし強い。アマゴか? いやそれにしても?
上下左右、魚は動き回る。こちらは付いて行き、抑えるのに必死。
チラリチラリと姿が見える。かなり大きいな。
数分のヤリトリの後、徐々に魚体が浮いてきた。
めちゃデカい。ヤバい、震え出しそうだ。
何とか浅場に持ってきて、いざ捕る!のところで、ヤツは再度深みにダッシュ。
おっとイカン! 体の向きを変えようとしたら、何と転倒!
うわわ、マズい!
立ち上がったら、ハリは外れてない。
よし、もう一回だ。
同じ浅場に引っ張って来て、今度こそ捕った。
「よぉぉぉっっし!!!」
その後大声で吠えたのだけど、何を言ったか、まるで記憶なし。
膝と肩が震えてる。
目の前に、自分が釣った魚が居る現実が、何だか信じられない。
凄い魚。
自分の知る言葉を駆使して表現するより、「凄い魚」が当たる気がする。
ありがとう。こんな魚に出会えるとは。
・・・・・・
一旦ここで退渓し、車に戻ることに。体が濡れていて、まずは着替えたい。
ついでに軽く食事を摂り。
何だか満足してしまったような、どうしようかと思いましたが、まだ時間はあると言う事で、再び渓へ。
ここで初めて、脛と膝が痛いと気付きました。
アドレナリンって、本当に出てるのですね。その時まで、痛いとも寒いとも感じなかったのですから。
もうこの先、こんな魚には出会わないかも知れないし、もっと凄い魚に出会うかも知れない。
渓流釣りには夢があります。高過ぎる「壁」は何度でも現れ、しかしそこに挑むことが面白い。
これからも、まだ見ぬ渓流魚を追い掛けようと思っています。